快と不快のはざまで

夜中、電気をつけずに入浴することがたまにあります。

浴槽内に完全に入って風呂蓋を閉めるとさらに暗くて静かな気持ちになれます、OPのSです。

(さらにそこでパピコとか食べると最高です)

 

水辺を歩き回れるチルなゲームがあると聞いてやってみました。

とあるインディーレーベルが出しているPOOLSというゲームです。

巨大な建物のなかに様々なプール(とウォータースライダー)が迷路のように入り組んでいて

プレーヤーはその中を歩き回って探索することができます。プール内にも入れますが泳ぐことはできず、

足首~胸くらいの高さの水深をざぶざぶ歩いて進みます。SE以外のBGMはなく、プレーヤーがタイルの

床を歩き回る「コツコツ」という靴音、おそらく服のままずぶ濡れになって服が吸った水が

「ザーザー」流れる音、流れ落ちる水が次第に少なくなり「ピチョピチョ」滴る音、ほかにも排気口に

近づけば風のような音がしますし、明かりの傍を通るとブーンと鳴っていて かつてこんなところを

歩いたことがあるかのような錯覚がずっとつきまといます。ところどころに安っぽいプラスチックの

ガーデンチェアが置いてありそこに腰掛けることもできます。座るとミシミシとチェアがきしみ

プレーヤーが「はーーー」と深く息を吐く音までします。

 

ざっくり言えばホラーゲームの部類に入るかもしれませんが、襲いくる化け物も

牙をむくトラップもなくタイムリミットで急かされることもありません。そして迷路チックでは

ありますがひらめきやコツがないと打開できない局面もありません。目的もわからないままただただ

次のプールを目指してぶらぶらします。壁にあいている明かりのない暗い穴をずっと進んでいってもいいし、

どれくらいの深さがあるかわからない穴底へ飛び込み台から落下してもいいのです。

揺らめく水面、濡れて光るタイル、精巧で巨大な建造物、美しい光景の連続ではありますがリアルな

質感をそのまま貼り付けたかのような映像とすぐそこに水があるかのような環境音が、

なかなか覚めない悪夢のようで全く心は休まりません。ヘッドホンをつけ部屋の電気を消し

プールをさまよっていると、自分の鼓動が耳の内側からはっきりと聞こえ、後ろか前か

あるいは上のほうか、何かがいる気がして一人部屋の中で振り返ってしまいます。終始鳥肌が

おさまりませんでした。

むしろこれなら「何か」が出ると言ってくれたほうが、脅かされるぞと告げられていたほうが

すっきりした気持ちでプレーできるのでは?と思いますが快と不快に片足ずつ浸けているような

感覚が癖になってしまいました。

 

 

※暗闇、水、高所、広所、狭所、巨大物、集合、深淵、人形などの恐怖症がある方には

おすすめしません。