命長ければ恥多し

「なにその趣味の悪い格好!!!」

夕方、最寄りのスーパーに行く前。
あくまで〝部屋着〟として着ていたTシャツ(を着用している母)に向けての、息子の発言である。

そう、指摘されるまで実は完全に失念していた。
そのTシャツには、白黒ではあるものの前身頃にデカデカとカワイイ我が息子の顔写真がプリントされているのだった。
(小学校高学年時分のものだったか?)

何年か前に夫が何を思ったのかユ◯クロのオリジナルTシャツデザインサービスを利用して作ったもの。
それが唐突に我が家に届いたときは、冒頭の息子とほぼ同じ感想を抱いたのを覚えている。
そしてサイズ的に着られるのは私だけだったが、絶対に着ることはあるまいと、そっと押入れにしまい込み早数年…。
冬の寒さも和らぎはじめ活動しやすくなったある春の日、衣替えの際に再び手にし確信してしまった。
「今なら着られる」と…。(悲しきかな年齢を重ねるごとに恥じらいが失われていく)

そこからは部屋着として大活躍。もともとユニ◯ロのTシャツは着心地がいいのだ、当然だよね!
てな感じで私の体にフィットしていた。油断するとデザインを忘れるぐらいに。
だって自分からは見ようと意識しないと見えないんですもの…
そうして完全に油断しきっていた私はその格好のまま、ついに外の世界へ飛び出そうとしてしまったのであった。

否定し続ける息子に対し、(確かにちょっと恥ずかしいけど、すぐ行って帰ってくるだけだし
着替えるの面倒くさいし)いいじゃん別に!と言い返す母(私)。
更に同居する義母の「だれも見てないし気にしないわよ〜いいわよ〜」という声が追い風となり再び確信
「今ならいける」と…。

しかし更に全力で否定してくる息子の声に渋々こたえ、結局のところ直前で着替えた結果。
知人に会う確率は五分五分?のところ見事当たりを引き、息子の顔を知るママさんから声をかけられたので
今回はまあ着替えて良かったとしよう…。

でも割ともうどうでもよくなっている私は、いつかそれを着て出社しようとも目論んでいる。
もしかしてこのTシャツって…と気づいちゃった方はそっと生温かい目で見守ってください。

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