“渾沌”七孔

 

視床下部を貫く冷気と曇ってしまった窓が午前四時の全てであり、

あとは何もかもが嘘だった。

ちなみに、「おそとポカめき ビバやかに春」という時候の挨拶を考えていたが

昨今の気温の乱高下を前にあえなくお蔵入りとなった。

何が春、贅沢な名だね お前は今日から冬だよ。

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さて、中国神話の中には“渾沌”という名の存在がある。

化け物であるとも、神であるともいう。

『荘子』において渾沌は目、鼻、耳、口を持たない中央の帝として登場する。

南海の帝と北海の帝は、自分達を手厚くもてなしてくれた礼として、

渾沌の目、鼻、耳、口の場所に穴をあけた。すると、渾沌は七日後に死んでしまった。

転じて、物事に対して無理に道理をこじつけること、すなわち

「混沌に無理やり秩序を与えること」を指して「渾沌(渾沌)に目口を空ける」という言葉が生まれた。

渾沌は、ただそこにあるだけで良かったのに。

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混沌は秩序に隷属し、時に秩序は孤独を冷遇する。

「多様性の時代」を謳われるようになって久しく、昨今は個々の特性や特徴、傾向にも随分色々な名前がつく。法の整備が待たれるものから 性格診断の延長のようなものまで様々である。

自分が飼う「渾沌」はせいぜい「なるべく12時間寝たい」とか「人と目を合わせると今度は目を離すタイミングがわからなくなってしまうので 何となく頬骨とか見て話している」とか「先輩が話しかけてくれると嬉しくて退出のタイミングを見失い、ニチャニチャ居座ってしまう(妖怪のお作法)」とか些細なものであるが、然るべき機関に行けばこういう挙動にも逐一名前がつくのだろうか。些かの疲労を覚えないこともない。

受け入れろとは言わないので 混沌を混沌のまま放置していただくわけにはいけないだろうかと困惑する場面も、ある。石をひっくり返されて右往左往するダンゴムシに、どうか七つの穴をあけないでほしい。

なんかこの話題にも飽きてきちゃった!最近見返した龍騎の話とかしていいですか?(混沌)

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『浦沢直樹の漫勉neo』3月29日放送 大友克洋ゲスト回、予約しましたか?

クウガ25周年記念展に向けて休みは押さえましたか?

『決戦!九龍城砦』はサブスクを待たず絶対に劇場で見た方良い。

『狂四郎2030』の2030年まであと5年!?

『国民クイズ』のネトフリ実写化ってちょっと嬉しすぎるかも。

混沌といえば『ドロヘドロ』二期の続報も待たれます。ネトフリってもしかして入りどき?

以上は、私と感性が近い人向けのリマインド。今日も何とか秩序をやり過ごしましょう。

ちなみに「渾沌」に関しては夢枕獏と松本大洋がタッグを組んだとんでもない絵本があるので、興味のある方はそちらも是非。

 

この混沌とした乱文が公開される頃には、「おそとポカめき ビバやかに春」であることを切に願う。

OP E